表現が有害だと考え、規制を求める人の意見を私はこんなふうに整理していますよというのを紹介します。
まず、図1を見てください。
図の説明をします。
横にならんでいるのが表現を読んだひとりひとり、縦軸がその人がもつ”有害さ”を表し、青い部分が表現から受けた影響を想定しています。
また、上部にある横線はその人の有害さが具体的な危険が現れる域に達するラインだとします。ある個人の有害度がこのラインに達すると例えば「今後一年以内に30%の確率で犯罪に走る」ラインなどとお考えください。
つまり、誰かの有害度がここに達すること≒犯罪が誘発されている、ということです。
図1の場合Nさんはやばい人、Bさんは表現の影響を強く受けているけれど、他の部分が小さい、などと解釈するわけです。
さてでは、表現規制を求める方が漫画の読者への影響をどのように考えているのか、この図を元に考えることをしてみましょう。
まず1つ目。下図2です。
これ、ある表現を見るとどんな人でも実害あるほど有害だというもの。
読んだ人の表現からの影響以外なんて関係なく、表現のみがやばいって考え。
まぁ、正直こんな意見唱えるひとはいないでしょうが。
こりゃもう魔法の域ですよね。
この本を読んだ人は誰も彼も犯罪を犯しかねないということで、非常に失礼だし、まぁ現実的でない。
じゃぁ、次に2つ目、こんな意見はどうでしょうか?(図3)
これ、どんな人にも一様にそれなりに有害というもの。
読んでるお前らは誰も彼も犯罪に一歩近づいてるっていう主張ですね。
私は規制賛成派の中にはこの考え方に近い人を感じることがあります。
こんなもん読んだら悪影響に違いないと。
で、こういうこと言う人は、あなたもこれを読んだら犯罪に近づくんですか?と聞きたい。
こういうこと言う人に限って、自分は影響を受けるとは信じていないと感じます。
こういうこという人は多分ある本を読んでいる人を目の前において、あなたが犯罪を犯しかねないのが怖いから規制します。といえるんでしょうか?
結局、そういう本を読んでいる人が実在するという実感を持っていないんじゃないかと感じます。
また、この論を唱える人は、まず表現以外のところに手をつけるべきだと言いたい。図で言うところのJさんの赤い部分ですね。この部分に手をつけないで、表現規制はおかしいでしょうと。
さてと3つ目。(図4)
たいていの人にはなにもないけど、一部の人にはある程度有害。そしてその人の性質(つまり棒グラフ赤部分)によっては犯罪に走るかもしれないのではないかということ。
有害論を唱える人、これに近い意見の人はそれなりにいるんだと思います。
さぁ、この論を唱えて、表現の規制を求めるってことは、有害な影響を受けないひとに大しては「あなたの趣味は不幸にしてすごく有害な影響を受けてしまう人がいます。あなたは別になにも問題ありませんが規制しますよ」って意見ですよね。
さて、この論を唱える人にいいたいのは。「中に有害な影響を受ける人がいるかもだから規制します」というのであれば、私は「その人の有害さのそれ以外の部分にはアプローチしたのか」と。つまり図4Fさんの赤い部分ですね。ここにアプローチすればいいのに、それをせずに表現規制はおかしいですと主張するわけです。もしくは何故Fさんのみが表現の影響を強く受けたのか考えよと。そこにアプローチすることを怠って表現規制しようというのであれば当然反対します。
さて、上に4つ例を出しましたが、今更ですが、規制派の人たちはこういうふうに分類できるというつもりでだしたのではありません。漫画の読者への影響を考えるモデルを紹介し、例示をしただけです。私は漫画の読者への影響を、こういうモデルで考えています。つまり、漫画は読者に有害だと訴えるのは簡単ですが、その有害さは読者にどういう影響を与えていると考えるのか。これを明確にするためのモデルとして私はこう考えているというものです。有害論を考える上で頭を整理する助けにして欲しいということです。
因みに、私の考えは下図5。
読者はひとによっていい影響を受けることも悪い影響をうけることもあるけど、ひどく小さい影響しか与えるはずがないというもの。
社会の中に犯罪を犯すひとがいるのは当然ですが(Cさんみたく)、表現からの影響に原因を求めるのはおかしい。表現は必ず読者に影響を与えますが、それは実測にかなうレベルではないと
私の思う規制派の方々の最大勢力の意見。私の意見と上例示の4つ目の混合(下図6)みたいな考えなんだろうなぁと。
つまり、普通は誤差みたいな影響しかないのに、たまに影響受ける人がいて、犯罪に走ると。でも、結局私の意見は図3の時とどうようで、その人の赤い部分にアプローチせよ。または、表現の影響を強く受けた原因を考えよ。ですね。
では、今回はここまでです。次回は「有害論を元とした行政のすべき事柄についての今の私の考え」についてかこうと思います。