『NHKニュース おはよう日本』で児童ポルノ関係の特集が組まれていたということなので、映像から全文かきおこします。
映像はyoutubeを参照しました。
https://www.youtube.com/watch?v=Kj8aUaxCmSY------------------------------------------------------
司会女性「続いては今日の特集です」
ナレーター「水着姿の少女たちが、さまざまなポーズをとる映像がおさめられたDVDです。出演しているのは中学生以下の子供たち。中には、三歳の幼児というものまで。こうしたDVDは映画やドラマと同様、一般向けの商品として販売されています。しかし、街で外国人に聞くと日本のこうした状況は驚きだといいます」
アメリカ人「子どもをモノ扱いしているひどい」
ドイツ人「ドイツでこういうものが売られていたらデモや反対運動が起きる」
ナレーター「中には、業者に騙されて撮影され、大人になっても心の傷を抱え続けている人もいます」
被害者女性「男性が嫌いになったのか、触れられるっていうのもけいれん起こしちゃうんで」
ナレーター「最近、深刻な被害の報告も増えている子どもの性の商品化。今日は、この問題を考えます」
司会女性「まずはこちらをごらんください。児童ポルノ禁止法違反の疑いで検挙された件数の推移です。子どもを被写体にした映像の販売などでの検挙はここ十年で急増していて、去年は過去最多となる1644件にのぼっています」
司会男性「検挙の件数がこれだけ増えているわけですけれども、実は、被害を訴えることもできず泣き寝入りしている、そんな被害者も少なくないことが明らかになってきました。被害の実態と背景を取材しました」
ナレーター「先月東京都内で開かれたアイドルグループの交流会。ファンおよそ50人が集まりました。最近はアイドルの低年齢化が進んでいます。この福岡出身のアイドルグループの中にも中学生の姿がありました。アイドルを身近に感じてもらう握手会などのしかけもブームに拍車をかけています。同封された、握手会などのチケットを目当てに、同じCDを10枚以上買うファンも少なくありません。こうしたCDや写真集など、アイドル関連の売り上げは年間で少なくとも700億円にのぼるとみられています。人気アイドルの中には、子どものころに街でスカウトされたケースもあります。普通の子がアイドルになれる時代。自分もアイドルになりたいと憧れる少女たちが増えています。しかし、そうした少女たちを狙った、悪質なプロダクションに騙され、性的な被害にあうケースもあります。東京都内に住む、20台の女性です。小学6年生の時に、街中でアイドルにならないかと声をかけられました」
被害者女性「雑誌とDVDの出演がまずメインになるので、まぁちょっとした水着は着てもらうけど、簡単なお仕事ですって言われました」
ナレーター「アイドルに憧れていたこの女性は、勧められるまま芸能事務所と契約しました。しかし、待っていたのは予想もしていなかった演出での撮影でした。現場は男性ばかり。撮影を拒否できない雰囲気の中、演出はどんどん卑猥なものになっていったといいます」
被害者女性「水着のサイズがTバックとか、Tバックじゃなくっても薄っぺらいパットが入っていない水着とか、そういったものしかなかったです。股間の接写とか煽るように下から撮って、騙されたなって思いました」
ナレーター「女性は今も、その時におった心の傷に苦しんでいます」
被害者女性「私そのことで男性が嫌いになったのか、不潔なイメージを抱いてて、触れられるっていうのも、鳥肌がたつというか、けいれん起こしちゃうんで」
ナレーター「こうした被害の声があがるなか、子どものわいせつな写真や映像を取り締まる、児童ポルノ禁止法が今年6月に改正され、規制が強化されました。これまであいまいだった、児童ポルノの定義について、子どもの胸など性的な部分を強調し性欲を刺激するような写真や映像などとしました。さらに、性欲を満たす目的で所持すること自体を新たに禁止し、罰則も設けられました。しかし、ビデオの業界をよく知る関係者は、法律が改正されても一部の制作現場の意識はそれほど変わらず、手口も悪質だと証言します」
関係者男性「もうそんなの関係ないよって言って、どんどんどんどん過激に進んでいく会社もいくつかある。実際高校生にこうTバックをはかせてみたりとか、まぁ中学生くらいのアイドルからもいまだにこう下着をつけて、撮影させたりとかしている会社も、いくつか聞いてますね。両親っていうか親御さんが多分どちらかついてきてると思うんですけど、買い物に行かせてあげたりとか、エステに案内したりとか、親をできるだけこう現場から遠ざけようとする、その間に撮影してしまう」
ナレーター「インターネットを通じて、同じような被害にあうケースも増えています。この女性は、中学生の時、携帯のサイトで自らのプロフィールを公開していました。ある日、モデルをしてみませんかと勧誘のメッセージを受け取りました。軽い気持ちで、誘いに乗ったといいます。待ち合わせ場所のカラオケボックスにいたのは、中年の男性でした。突然その場で下着に着替えるように言われます。抵抗もできず、そのまま写真を撮られました」
被害者女性2「写真を撮ってる人が言ってたのは、なんかその、下着を販売するにあたって、なんか使うイメージ写真みたいなことは言ってたんですけど、透けてたりとか、全身タイツみたいな穴あきのこれは下着ではないよなみたいな」
ナレーター「その後、思いがけない事実を知ります。その写真が、ネットを通じて海外で販売されていると友人から知らされたのです。しかし、だれにも相談はできませんでした」
被害者女性2「何やってるんだってまずなっちゃうだろうし、親にも言えないし、警察に行ったところで自分も悪いしってなっちゃうだろうしみたいな。抹消されないし、消えないだろうしネットは」
ナレーター「子どもの性の商品化を防ぐには、どうすればよいのか。先月東京都内で開かれた講習会です。学校の教師や被害にあった子どもを支援する団体などが集まり、解決策を模索しました。」
支援団体代表「えぇ、子どもたちを、あの吸い込ませる、そういうような罠っていうのはすごく、えーありますし、そして、それを容認する社会に私たちは生きてるってことを、私たちは強くあの意識していかなければいけないと思います」
参加者(多分)「どれだけそこに積極的にかかわれるかっていうことなんじゃないかなっていうのは思いますね」
ナレーター「ここに参加した、金沢幸枝さん。性的な被害にあった子どもたちの相談を聞き続けてきました。子どもたちが匿名で相談できるホットラインを去年から始めた金沢さん。性的な被害を周囲に打ち明けられない子どもが多いことに驚いたと言います」
金沢さん「相談できる相手、大人がいない。あと、友達どうしでこれってちょっとヤバイのかなっていうのもうまくできていない。悪循環になってしまって、自分を傷つけてしまうっていうケースが、本当に多くなってきてるな。誰か一人でいいので、子どもに、その子にとってですよね、一人でいいから、あの、信頼できる大人っていうのができれば、それは回避されると思います」
司会男性「取材した伊達記者とお伝えしていきます。元少女たちの、深刻なそして痛切な訴えがありましたけども、こういう子どもたちの被害の実態を取材する中で、伊達さんはどんなことを強く感じましたか」
伊達記者「はい。今回取材した被害者には、一つの共通点があると感じました。それは子どもの頃、誰かに認めてもらいたい、必要とされたいという気持ちを、強くもっていたということです。えー、それは子どもにはよくある感情だと思うのですが、えー、その感情に付け込まれて、悪意を持った大人に騙され、被害にあっていました。えー、加害者は、最初は子どもたちの悩みの相談に乗ったりして、あたかも理解者かのようにふるまい、信頼させたうえで撮影を行うなど、手口が非常に巧妙だと感じました」
司会女性「あのー、冒頭で、外国の方が、この日本の状況が信じられないといっていましたよね。あの、この6月に法律が改正されるまで、日本ではいったいどんな議論がされてきたのでしょうか」
伊達記者「はい。児童ポルノの定義づけによっては、表現の自由が侵害されるのではないか、あるいは単に所持しているだけで処罰の対称としていいのかなど、議論が続いてきました。今回の法律の改正については、日本雑誌協会と日本書籍出版協会が声明をだし、児童保護という本来の目的から大きく逸脱し、表現規制につながる危険性があり、到底容認できないなどと訴えています。えーさらに、日本弁護士連合会は、警察などの捜査権の乱用につながり、人権が侵害される恐れがあると会長声明を出しています」
司会男性「まぁそのそういう懸念の声もあるなかで、実際にその検挙件数も増えるなど、被害は増えてるわけですよね。これ防ぐために我々はどういうことが必要なんでしょうか」
伊達記者「はい。子どもを性の対象とすることを許さない社会を作っていくことではないかと思っています。えー、児童ポルノの問題に取り組んできた専門家は、次のように指摘しています」
後藤弁護士「欧米では、あの、子どもを性の対象とするっていうことは絶対に許されないとされておりまして、それをその、たとえば出版社がそういう本を出すとかということはこれはもう到底考えられないことなんです。一刻も早く改めて、子どもを性の対象とする、ましてやそれを商品化するっていうようなことはもう絶対に許されない行為だということをですね、えー、強く社会にそういう意識を浸透させていく必要があるとそういう風に考えております」
伊達記者「まずは、私たち大人が、子どもの性の商品化の実態に目を向けて、えー、この問題と正面から向き合うことが求められているのだと思います。えー、被害を防ぐということが第一に大切ですが、それでも被害が起きてしまった場合には、えー子ども達がその被害のことを家庭の中だけではなく家庭の外でも相談できる場所を増やしていくと、いう必要があると思います」
男性司会「特集でした」
------------------------------------------------------
問題点が指摘されている報道ですが、思ったほど偏った報道という印象はありませんでした。しかし、一部問題のある報道の仕方がされている部分もありましたので、思った部分を指摘していきます。
ジュニアアイドル関係で。普通のジュニアアイドルと悪質業者は一応わけて報道されていると思います。ただ、子どもの性の商品化と言った時にどこまで対象としているのかがあいまいでした。性の商品化はとにかく悪い、欧米ではない、などの表現がめだちましたが、モー娘。やAKBみたいなアイドルまで性の商品化としていきたいのか、その点があいまいであったように思います。(性の商品化として批判するなら、それは過剰だと私は思います)
また、アイドルの低年齢化という言葉を使っていますが、低年齢のアイドルがいるのは昔からかわらないと思いました。ジャニーズJrとか。
児童ポルノ法改正の定義部分に関して。この点司会の方も誤解しているような表現がありましたが、児童ポルノの定義は”限定されるように”変更されたはずです。すなわち「過去合法だったものが新たに違法の枠組みに加えられた」という法改正ではありません。その点を誤解させる報道だったと思います。「ビデオの業界をよく知る関係者は、法律が改正されても一部の制作現場の意識はそれほど変わらず、手口も悪質だと証言します」とありましたが、ビデオ業界側としては、影響をうけるような法改正はなされていないのだから、きちんと法案を勉強しているのなら意識が変わらないのも当たり前です。自民党と公明党を批判してください。民主党案は定義に踏み込んでいました。(民主党案ならよかったと一概には言えませんが)
単純所持に関しては「単に所持しているだけで処罰の対称としていいのか」としていますが、主に問題になっているのは、過去に合法だったもので現在は違法なものの扱いをどうするかだと思います。一般市民には判断がつかないが、手元にあるものが児童ポルノの可能性があるといったときに、その人を犯罪者とすることがはたして正しいのかという論点です。問題点を適切に伝えない問題のある報道のように思いました。
欧米では児童を性的対象とすることは許されないといっても児童エロチカなんかはあるわけで、そのあたりの線引きをもっと詳しく考えないといけないと思いました。また、必ずしも欧米と同じ基準が適切だと思いません。欧米を持って来ればとにかく批判できるみたいな風潮は、議論の妨げになるばかりだと思いました。
とりあえず以上です。